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なぜ、データとアプリケーションは統合しないのか?_  
 
     

  サーバー仮想化によるサーバー統合の効果と課題 2011.3.22

 サーバー統合
 サーバーの仮想化技術の発展により、古くて非力なサーバーから、新しくて強力なサーバーに、処理を統合する作業が進んでいます。
 サーバーの負荷は平均して数%の上に、処理のピークに合わせて、余裕のある設定にしなければならないので、仮想化による処理の統合と資源の融通で平均稼働率を上げる事が出来れば、情報資源の利用効率が上がると言う訳です。
 確かに、広いサーバールームにズラリと並ぶサーバーの稼働率が、平均数%しか無いと分かれば、何とかしたいと思うのが人情と言うものです。
 では、これが更に1/3〜1/5に成るとしたらどうでしょう。

 解決されない課題
 それは、システムの創世記から存在し、そして未だに解決されない、データとアプリケーションの冗長性に由来する効果です。
 某IT企業が1990年代の調査で、それら冗長性の度合いを評して「全システムの70%が重複の整合性を維持するために使われている」と言っていましたが、2011年の現在まで、特段の対応無くして、その状況が好転する訳も無いので、80%、90%と、いわゆる直接ビジネスの役に立たないシステム要素の割合はジリジリと(いや、グングンと表現した方が当たっているかも)増加していると考えるのが妥当でしょう。

 可視化の壁
 70%以上もの重複が存在し、その存在のおかげで、システム規模が不必要に3〜5倍も肥大化している事が分かれば、もちろん、経営者はCIOに、CIOは情報システム部門に、直ちに対応を命じるのではないでしょうか。
 しかし、残念ながら、世の中にその様な動きは見られません。
 なぜなら、その部分を可視化し、課題として捉えることが出来る企業は、非常に限られているからです。
 日々、案件ごと、プログラムごとに保守作業の対応工数の変化を捕捉していれば、同程度の作業を行うのに、必要な工数が3年で倍になる事に驚かされます。
 その原因を追及すれば、肥大化による複雑化が元凶だと言う事を突き止める事は訳ありませんが、協力会社へ委託したきり、工数の管理や妥当性の検証を怠っていると、分かるものも分かりません。
 しかし、分からないからと放置していたのでは、せっかくのサーバー統合も一時しのぎで、ローラーの様に押し寄せる肥大化の波に、再びサーバーが林立するのは時間の問題です。

 先ずは全体把握
 自分達が運営する情報システムが、一体どのくらいの冗長性を含んでいるのかが、可視化出来れば、判断は容易です。
 既に、70%冗長であれば、アクションを起こす動機としては十分でしょうが、自分達だけは例外では無いかと考えたいのが人情です。
 と、言う事で、現在の冗長性を評価する訳ですが、プログラムやプロセス面から分析する事は難しい(と言うか面倒なので)データ構造の分析から入るのが容易でしょう。
 ビジネス全体のデータモデルを描いて見て、把握されたアトリビュート数で、現行システムで認識されているデータ項目数を割れば、ザックリと重複度が分かると言う仕掛けです。
 データモデルでアトリビュートとして整理されたデータ項目が2,000なのに、現行システムのデータ項目数が20,000あれば、10倍の重複と言う訳です。
 データが10倍重複していれば、その整合性を維持するためにプログラムも同様に重複しているので、余程の特種事情が無い限り、全体で10倍の冗長性ありと判断して良いでしょう。
 もちろん、詳細に冗長性を分析する事も可能ですが、冗長性を詳細に把握した所で大した意味はありません。

 統合のポイント
 サーバー統合と違い、データやアプリケーションの統合は、買って来て入れ替えれば終わりと言う訳には行きません。
 従来はシステムやプロジェクトの壁を越えて、連携や統合を考える事は無かったと思いますが、もちろん、そのような壁も排除しなければなりません。
 また、一気に全システムで統合するのは難しい上に、大きなリスクがあるので、この会社はデータをどう管理して行きたいのかと言う「データ管理ポリシー」を策定した上で、個別のプロジェクト単位に、保守や再構築や機能追加などの機会を捉えて、地道に統合を進めて行くのが現実的だと思います。
 データ管理ポリシーには、過渡期にEAIやETLなどのツールをうまく使ったデータ連携や、情報系・DWHなどを活用したり、仮想データベースを利用するなどの工夫を盛り込み、最終的なデータ管理形を実現するまでのプロセスを明記し、極小で単純化されたシステムの実現を目指します。
 そうすれば、仮想化で稼働率の上がったサーバーの中で、100%ビジネスに直接役に立つ情報システムを動かす事になり、名実共に無駄の無いシステム運営が実現すると言う訳です。

 株式会社エフ・エム・エスでは、データ管理ポリシーの策定から、データ分析/データモデリングによる全社データ構造の把握、及び、個別プロジェクトにおける、データ統合一元化に向けた具体的な作業の支援まで、一連の作業に関しコンサルティングサービスをご提供しています。
 情報システムや情報システム部門のレスポンスや生産性が急激に悪くなる場合などは、長期間に亘る保守の結果、システムの冗長性が高くなっている場合があります。
 現行情報システムの冗長度を評価するサービスも承りますので、一度、ご相談下さい。

 ビジネスを支援するはずの情報システムが、逆にビジネスの足を引っ張ったのでは話になりません。
 データ・アプリケーションの冗長性を排除して、ビジネスの要求に身軽に答える情報システムを取り戻しましょう。
 

 
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